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世界のテロ組織と対テロ組織
Terrorist & Counter-Terrorism

 

海上保安庁特殊警備隊(SST)
SST--Special Security Team

 

海上保安本部特殊警備隊(SST)

●設置
 1966年(平成8年)5月、関西空港海上警備救難部所属の空港警備隊と海上保安庁プルトニウム海上輸送対策室所属の特殊部隊(名称不明)が統合されて、大阪特殊警備基地(総勢42名)として発足。

 そもそもの最初は1988年のソウルオリンピックのとき。関西空港の工事現場の警備のために設立された部隊(関西空港警備隊)を特殊部隊にしたのが始まりという。妨害テロが多発して下関〜釜山を結ぶフェリーが乗っ取られることを想定してのものだった。

 92〜93年、再処理済みのプルトニウムをフランスから日本まで海上運搬する際、巡視船「しきしま」の建造とともに、対テロ特殊部隊が誕生した。プルトニウム警備のための特殊部隊は総勢13名だった。これと元「関西空港警備隊」を統合して、「特殊警備隊」が生まれたという。

 選抜された隊員が、アメリカでテロ対策の訓練を受けて、1992年のプルトニウム警備に出動した。このとき、TBSがスクープとして、アメリカで訓練を受けていることを紹介していたらしい。また、実際の活動では、隊員13人が運搬船「あかつき丸」に極秘裏に乗り込んでいたようだ。

 部隊誕生の背景には、プルトニウム輸送の安全性を懸念した米国の意向も働いたという。

●任務
 主にハイジャック対策。

●配置
 第五管区海上保安本部(神戸)の大阪特殊警備基地。大阪府泉佐野市りんくうタウンの大阪府警第三機動隊の隊本部に隣接して存在している。

●編成
 SST=3チーム、総勢40人弱。
 チーム(小隊)=10人

●階級
 チーム(小隊)の隊長=二等海上保安正(警察の警部クラス)
  副隊長は三等海上保安正(警察の警部補クラス)
 各班長=巡査部長

 特殊警備隊の隊員は、警備実施強化巡視船の特別警備隊の隊員や、救難強化巡視船の潜水チームの隊員から選ばれることが多いようである。

●訓練
 設立に際しての訓練はアメリカが技術指導をした。

 通常はシージャックや海上テロなどに備えて、船舶への突入訓練やヘリコプターからの降下訓練、スキューバダイビングの装備を使用しての潜水訓練などを行なっている。

 シージャック事件などの際には、同庁のヘリコプターで全国に緊急展開し、ヘリからロープで降下しテロリストを急襲、制圧する。

●主な装備
 H.KMP5サブマシンガン(9ミリ口径)
 SIG SAUER P226自動拳銃(16連発)
 高性能の狙撃ライフル
 自衛隊の89式自動小銃
 音響閃光弾(特殊閃光手投げ弾)
 消音器
 暗視ゴーグル

※SATと同様、1995年にテロが多発したのを受けて96年から正規の予算がつき、個人装備も最新式のものを導入している。

※新聞報道では短機関銃を装備していると報じられていたが、週刊SPAによれば海保は装備については公表することはできないという。

●出動事件(前身部隊)
1989年8月 沖縄近くの東シナ海を航行中のパナマ船籍の鉱石運搬船でフィリピン人船員らが船長ら英国人船員を監禁した暴動事件。関係国の要請で出動、けが人を出すことなく鎮圧。
 

●情報公開
 海保の特殊警備隊の存在は機密事項ではなく、海上保安庁はすでに平成9年版海上保安白書の57ページ目で説明記事を掲載し、公表している。ウェブ上でも97年以前から掲載されていた。

 にもかかわらず、マスコミ報道は98年1月になってからであった。
海保に対テロ特殊部隊/平成8年5月発足

 海上保安庁に、リマの日本大使公邸人質事件でペルー軍部隊も突入作戦に使ったドイツ製短機関銃MP5や、光と大音響で人間を数秒間、抵抗不能の状態にする特殊せん光手投げ弾など、海外の特殊部隊並みの装備と能力を持つ対テロ特殊部隊が存在することが4日、分かった。(河北新報)

●どこから教育を受けたのか

 海上保安庁が仏から日本までのプルトニウム輸送の警備を行なったときの訓練は、京都府舞鶴市に存在する海上保安庁の施設内と日本海の洋上の船舶で行われ、訓練は熾烈を極めた。
海保の対テロ特殊部隊、米軍から教育受けていた
――法に抵触の指摘も

 創設から五月一日で五十周年を迎える海上保安庁の対テロ特殊部隊が、米海軍の特殊部隊「SEALS」(シ−ルズ)の隊員から教育を受けていたことが二十八日、明らかになった。

 海上保安庁二五条は、同庁またはその職員が「軍隊として組織、訓練され、または軍隊としての機能を営むこと」を禁止しており、憲法学者から「二五条に抵触する疑いがある」との指摘が出ている。

 海上保安庁は「内閣法制局と法解釈を詰めたわけではない」(政務課)とした上で「海上保安官が軍隊の教育を受けても、海上犯罪の予防・鎮圧など庁法二条で規定された任務遂行の目的である限り、二五条には抵触しないと考える」(同)としているが、今後国会などで問題となりそうだ。

 海上保安庁幹部は「特殊部隊所属の海上保安官が過去に、日本国内でSEALS隊員の教官から教育を受けたことがある」と認めている。時期や教育内容など詳細は一切明らかにしていない。同庁によると、同隊は現在もSEALSから専門資料の提供など技術協力を受けており、特殊部隊の隊員が米国内の民間軍事訓練施設で射撃訓練などを行ったこともある。

 水島朝穂早稲田大教授(憲法)は「二五条は軍隊と海上保安庁の分離規定で、その範囲は教育訓練にも及ぶ。たとえノウハウの提供だけだとしても海上保安官が米軍人から教育を受け、実質的に軍隊的な機能を持つことは、法の趣旨から言って二五条に抵触する疑いがあると解釈せざるを得ない」としている。

・SEALS

原潜やパラシュ−ト降下などで敵地に侵入し施設の破壊などを行う米海軍の精鋭特殊部隊で、湾岸戦争にも参加した。同部隊の対テロ専門セクションとしては「海軍特殊戦開発軍(NSWDG)があり、米陸軍の将兵から成る対テロ特殊部隊「DELTA FORCE」などとともに米軍の「統合特殊戦作戦司令部(JSOC)」の一部を構成、対テロ作戦を遂行するとされる。

      (1988.4.29.東京新聞から転載)

◇テッド新井氏
 米国でコンバットトレーニングのインストラクターとして有名で、また97年、ペルー日本大使公邸人質事件において救出作戦を行ったペルー陸軍特殊部隊の訓練・教育を行ったことでも有名なテッド新井氏がその著書「プロフェッショナル・ファイターズ」(原 書房)でつぎのように書き記した興味深い一文がある。

 数年前、日本の某治安担当当局の現場責任者が彼らの技術の低さに業を煮やして私を招いた。日本政府の公安機関が、民間人を起用して技術を学ばなければならない切実な状況化で、現場責任者は相当の苦労をされていたようだ。
 日本以外の国で我々プロが招かれて技術を教えるのは常識だが、日本の役所はシステム、メンツ、タテマエを大切にする。
 まして、実弾の訓練という難しい状況下で秘密裡に訓練が行われた。だが、彼らの志気は予想を超えた高さにあって嬉しかった。私は既存の旧態依然とした射ち方を捨てさせた。私が教えた実戦的な技は、砂に扱われるように彼らのモノになった。
 一昨年(1992年)、ペル-陸軍の特殊部隊に協力したことがある。そのことをフジモリ大統領にたずねた日本のレポーターに、フジモリさんは「さあ、知りません」と、否定も肯定もしなかった。さっそく、アライは嘘をいっているという評判がたったが、写真という動かぬ証拠があって批判は立ち消えになってしまった。今年(1994年)の二月一日のTBSのインタビューの中で日本の海上保安庁の訓練をしたかと聞かれ、「しました……」と答えた。TBSがさっそくに問い合わせをしたところ、記録無しと返答があったとか。
「あなたは収賄をしましたか?」と聞かれ、バレルまでは「とんでもない、していません……」と答えるのが常識となっている二重構造の政治家や官公庁が素直な返事をするとでも思っているのだろうか? これが語りたくない話というものだ。
 

◆メディアで報道されたSST

Der Angriff II 時事掲示板への投稿を参考にしました。2000/12/26

●1989年8月 鉱石運搬船暴動事件
に東シナ海を航行中のパナマ船籍の鉱石運搬船(約8万6千トン)でフィリピン船員らが船長ら英国人船員を監禁する暴動事件が発生。関係国の要請でSSTの前身部隊が出動。ヘリコプターから同船へ降下し急襲。監禁されていた船員らを救出し暴動を鎮圧。 (共同通信)

●1992年
フランスから日本へのプルトニウムを輸送した運搬船あかつき丸にSSTの前身部隊が13名乗り組み警備を行う。(共同通信)

●1996年5月
大阪特殊警備基地が発足。正式に特殊警備隊となる。(海上保安庁発表)

■平成9年版海上保安白書

海上保安庁では,シージャック,サリン等の有毒ガス使用事案等高度な知識及び技術を必要とする特殊な海上警備事案に迅速かつ的確に対処するため,大阪特殊警備基地を8年5月に設置した。同基地では,特殊警備隊が,前述の地下鉄サリン事件,8年12月の在ペルー日本国大使公邸占拠事件等を踏まえた潜水訓練,武道訓練,レンジャー訓練,ヘリコプターからの降下訓練等を実施し,24時間体制で海上における特殊警備事案の発生に備えている。

■海上保安庁に対テロ部隊/外国並み強力武装/実態、初めて明らかに
<共同通信  1998年1月5日>

海上保安庁に、リマの日本大使公邸人質事件でペルー軍部隊も突入作戦に使ったドイツ製短機関銃MP5や、光と大音響で人間を数秒間、抵抗不能の状態にする特殊せん光手投げ弾など、海外の特殊部隊並みの装備と能力を持つ対テロ特殊部隊が存在することが四日、分かった。部隊の正式な発足は一九九六年五月だが、前身の部隊は九二-九三年のフランスから日本へのプルトニウム輸送で隊員十三人が運搬船あかつき丸に極秘裏に乗り込み、核ジャックの警戒に当たった。発生から一年たった大使公邸事件の教訓から警察の特殊部隊「SAT」を強化する動きが出ているが、海上保安庁の特殊部隊の実態や活動が明らかになったのは初めて。部隊誕生の背景にはプルトニウム輸送の安全性を懸念した米国の意向も働いたという。

部隊は「特殊警備隊(SST)」という名称で、第五管区海上保安本部(神戸)の大阪特殊警備基地(大阪府泉佐野市)にある。同庁筋によると、そもそもの部隊の前身は過激派による海からのテロを警戒して約十年前にできた関西空港の警備隊。さらにプルトニウム輸送を前に、より高度な能力を持つ別の部隊が発足し、この二つの部隊を九六年に統合して特殊警備隊としてスタートした。同庁は部隊の装備など詳細についてこれまで一切公表していない。

特殊警備隊が持つMP5は、近接戦闘で強力な威力を発揮する九ミリ口径のサブマシンガン。ロンドンのイラン大使館占拠事件(八〇年)の突入作戦で有名な英国陸軍特殊空てい部隊(SAS)など世界の特殊部隊が装備している。

武器はほかに、自衛隊の89式自動小銃、狙撃用高性能ライフル、十五連発の自動けん銃P226を装備し、特殊せん光手投げ弾、消音器、暗視ゴーグルといった対テロ作戦に不可欠な特殊装備を持つ。隊員は自衛隊で爆発物や機雷の取り扱いを学び、自衛隊の演習場でも訓練している。

隊員は四十人弱で、全国から選抜された体力、射撃、格闘技に優れた若手の海上保安官で構成。シージャック事件などの際には、同庁のヘリコプターで全国に緊急展開し、ヘリからロープで降下しテロリストを急襲、制圧する。

八九年八月には前身の部隊が沖縄近くの東シナ海を航行中のパナマ船籍の鉱石運搬船(約八六、〇〇〇トン)でフィリピン人船員らが、船長ら英国人船員を監禁した暴動事件に関係国の要請で出動。けが人を出すことなく鎮圧した。

海上保安庁は、同庁法で海上保安官には武器の携帯が認められており、特殊部隊の装備は問題がないとしている。

特殊部隊誕生に米国の影/プルトニウム輸送が契機

秘密のベールに覆われていた海上保安庁の対テロ部隊「特殊警備隊(SST)」。その実態が四日、明らかになったが、強力な特殊部隊が誕生するきっかけは一九九二年から九三年にかけて厳戒態勢下で実施されたプルトニウム輸送だった。同庁筋は「特殊部隊を運搬船に乗せた背景には、核拡散を懸念する米国の意向があった」という。

フランスであかつき丸に積み込まれたプルトニウムは約一トン。強奪されれば原爆約百発が製造される恐れがあった。米国は日本のプルトニウム輸送に厳しい条件を付け、関係者によると、輸送の安全確保をめぐる日本側との協議は二年に及んだ。

自衛隊の海外派遣論議を避けたかった政府は、あかつき丸の護衛を海上保安庁に担当させた。護衛船として三五ミリ機関砲と二〇ミリバルカン砲で武装した同庁最大の巡視船しきしまが九二年、就役した。
しかし同庁筋によると、三五ミリ砲、二〇ミリ砲ともに海上目標用で、対空砲火としてはほとんど使えない。対空、対艦ミサイルもなく、対潜水艦作戦能力も備えていない。

米側は、しきしまの武装の貧弱さに加え、米軍のように敵、味方の区別を具体的にどう行うかなど武力行使の条件を詳細に規定した「交戦規則(ROE)」がなく、武器使用に制約が多いことに強い懸念を抱いたという。

海上保安庁の武器使用は警察官職務執行法に準拠し、厳しく制限されている。同庁幹部は「実際には威嚇射撃も難しい」としており、航空機や艦船でテロ集団の攻撃を受けた場合、あかつき丸への乗船を許してしまう恐れがあった。

●1999年3月23日 不審船侵入事件
能登半島沖の日本領海内に北朝鮮のものとみられる不審船が侵入する事件が発生。特殊警備隊が出動し追跡中の巡視船で待機するも出番無し。(朝日新聞)

■不審船事件で海保が特殊部隊による突入計画 (朝日新聞1999年3月31日 )

日本海でおきた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作船とみられる不審船事件で、海上保安庁が、不審船を停船させ、シージャックなどの対テロ訓練を積んだ「特殊警備隊」を突入させる準備を進めていたことが31日分かった。

同庁などによると、特殊警備隊は23日、不審船について自衛隊から連絡があった直後に、大阪府にある基地からヘリコプターで第九管区海上保安本部(新潟市、岩男登本部長)に派遣され、現場海域付近で不審船を追跡していた大型の巡視船に乗り移った。同日夜、海上で巡視船が威嚇射撃した際、不審船を停船させて小型ボートで突入し、乗組員を逮捕するなどして制圧する計画だったという。

特殊警備隊は、地下鉄サリン事件後、海上テロなどに対応するため、海上保安庁が創設した。任務や装備についての詳細は明らかにされていない。  

●1999年10月22日 海賊襲撃事件
インドネシアのスマトラを出航した日本の会社が所有する大型貨物船アランドラ・レインボー号(7,762トン)が海賊に襲撃される事件が発生。船会社から通報を受けた海上保安庁は巡視船はやとを捜索に派遣。この巡視船には救出作戦に備えてSSTの隊員が乗船するが出番無し。(産経新聞)

■海保、巡視船で本格捜索 日本船襲撃
国際海事局「解決の原動力」と評価
(産經新聞  99年11月20日)

【シンガポール19日=湯浅博】クアラルンプールの国際海事局(IMB)海賊センターは十九日、先月二十二日にインドネシアのスマトラ島を出航後、海賊に襲撃された日本の大型貨物船捜索のため、海上保安庁がヘリ搭載型巡視船と航空機一機を派遣して南シナ海からタイ湾付近で捜索活動していたことを明らかにした。日本政府は周辺国に気兼ねして公表を控えているが、IMBはむしろ、日本側の本格的な取り組みが各国の沿岸警備当局を喚起し、インド海軍による海賊犯の身柄拘束につながったと評価。今回の国際的な連携による解決が海賊事件の抑止につながるとみている。

IMBによると、日本の船会社所有の貨物船「アロンドラ・レインボー号」(七、七六二トン)が消息を絶って約一週間後の先月二十八日、海上保安庁は船会社からの通報を受け、IMBに日本船が行方不明になったことを連絡。IMBが両海域を航行中の全船舶に捜索警報を出し、フィリピン沖の南シナ海で「ア号」に似た貨物船の目撃情報が寄せられた。

この情報で、鹿児島県の第十管区海上保安本部所属のヘリ搭載巡視船「はやと」(三、八〇〇トン)が現場に向け出港、シージャックの可能性もあるとして乗組員救出のための特殊部隊が乗船した。さらに第三管区羽田航空基地から捜索機ファルコンを発進させ、マニラ空港を基地に南シナ海を掃海した。捜索はさらにマレーシアの東岸沖にまで捜索範囲を広げ、今月上旬まで捜索活動をしていた。

ちょうどマレー半島を挟んだ西側のマラッカ海峡では、池野功船長(六七)はじめ乗組員十七人が、救命ボートで漂流していた。「ア号」は七億円相当のアルミニウム塊を日本に運ぶ途中にマラッカ海峡で武装集団に襲われ、池野船長らは救命ボートで海上に置き去りにされた。十一日間の漂流のすえ、今月九日に偶然、漁船に救助されている。

日本政府は現場海域の領海が入り組んでいることや、日本の武装船舶に対する東南アジア諸国の感情を配慮して公表を控えている。しかしIMBのノエル・チョン海賊センター所長は「日本が巡視船、航空機をいち早く現場に展開したことで、日本の意気込みが分かり、各国が本格的な捜索に入る引き金になった」と高く評価している。二年前にもオーストラリアの船長が乗船した船舶の海賊事件で、同空軍が大規模な捜索をしたことがあるが、海上保安庁による海賊事件の捜索活動ははじめて。

今回はマレーシア、インドネシア、インドなど国際協力による捜索が功を奏している。IMBはこの「ア号」海賊事件が、今後の海賊摘発のモデルケースになるとみている。海上保安庁が東南アジア方面に巡視船を派遣した事例は、昨年五月のジャカルタ暴動の際と、ことし八月、東ティモールの住民投票後の騒乱時に、邦人救出のため巡視船が沖合に待機していた。  

●2000年8月4日 船員暴動事件
那覇市の西北西約330キロの東シナ海を航行中のシンガポール船籍のバラ積み貨物船「アセアン・エクスプレス」号(約1万500トン)の船内で9人の中国人船員が暴動を起こす事件が発生。特殊警備隊がヘリコプターから同船へ降下し急襲。暴動事件を鎮圧する。(毎日新聞)

[毎日新聞2000年8月5日]

那覇市の西北西の東シナ海を航行中のシンガポール船籍の貨物船「アセアン・エクスプレス」(22人乗り組み、約1万500トン)の船内で、暴動が起きて船長が負傷した事件は、船長から飲酒を注意された船員9人が船長を鉄パイプで殴りつけていたことが5日、第11管区海上保安本部(那覇市)の調べで分かった。

調べでは、9人は全員中国人。日ごろから同じ中国人の船長と仲が悪く、船長から飲酒を注意されたことをうらんで殴ったらしい。船長は頭や左腕に打撲傷を負ったが意識はあり、宮古島の病院で手当てを受ける予定。

事件は4日正午前後に起き、午後3時過ぎ、ア号から救助要請が入った。午後8時ごろ、海上保安官8人がけん銃で武装して船に乗り移り、9人の身柄を確保した。公海上の事件で当事者も日本人ではないため、11管は今後シンガポール政府や中国政府に事件を通報する。

 

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