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世界のテロ組織と対テロ組織
Terrorist & Counter-Terrorism

 

イギリスの対テロ部隊
United Kingdom

 

●SAS 特殊空挺任務部隊
SAS(Special Air Servvice)

●設置
当初、軍事目的の急襲・情報収集部隊として編成。
60年代後半、英国友好国の各警護部隊に近接戦闘(CQB)を訓練する部隊を提供。
69年以降、家屋突入部隊(HAG: House Assault Group)活動。北アイルランドにて。
70年代半ば、最大1中隊78名まで対テロ任務にゆだねる。
  これが現在のCRW中隊の能力となる。
  (Counter Revolutionary Warfare=対革命ゲリラ戦闘)

●概説
 SASは、世界でも最もよく知られている特別軍事組織の一つである。英国陸軍の少数精鋭部隊だ。「敵戦線後方突入」戦術に関して高度に訓練され、フォークランド紛争や湾岸戦争に従軍した。MI5などの他の組織が新しい任務を展開しているように、SASも対テロ状況の高度訓練を行っている。イラン大使館包囲などで活躍した。モットーは「勇気ある者が勝つ(Who Dares Wins)」。

 秘密めいた不思議な存在であるため、人々の好奇心を集めてきた。

●所在地
 SAS本部はヘレフォード(Hereford)にあったが、約40年の連隊本部だったスターリング・ライン(Stirling Lines)の閉鎖計画後、新拠点を探していた。その結果、ヘレフォードから数マイルの使用停止されたRAF基地クレデンヒル(Credenhill)に移動することになった。

●人員
 SASの活動している連隊は、22SASである(21と23はTA連隊に所属)。人員は約550人、平均年齢は27歳。SASに加入するには、普通部隊に三年間所属していなければならない。

●組織
 22SASは、各4中隊ずつからなる4作戦分隊(A、B、D、G)がある。このほかにR分隊がある。各中隊は32人から構成され、8人ずつの4小隊となっている。ただ、連隊はいつも人員不足なので、いつもこのようになっているわけではない。
 各中隊は「突入能力」という特殊技能を有する。これらは以下のとおり。
  空中:パラシュート降下
  山岳:登攀及び歩行
  機動:乗物とバイク
  ボート:ボートとカヌー
 分隊は以下の3つの任務を6カ月交替で行う。
  特別プロジェクト:反テロ任務
  チーム任務:海外訓練
  分隊訓練:展開と訓練

●司令官
 SASの前司令官はマイケル・ローズ将軍(Gen. Sir Michael Rose)である。ボスニアの英国軍指揮に関わったが、現在、陸軍新規募集任務に当っている。

●SP(特殊プロジェクト班 Special Project Team)
 いわゆるCRW中隊。
 各SAS中隊が6カ月単位の任務として受け継がれる。
 4個作戦小隊(士官1名+15名の部下)に分かれる。
  通常、狙撃班・監視班・突入班に分割される。
  各作戦小隊は4名の作戦チームに編成。
 突入の場合、2名1組のペアで行動。

●ORU(作戦調査班 Ops Researchh Unit)
 対テロ作戦仕様の特殊装置の開発。
 スタングレネード、特殊突入梯子、火気用のライト据え付け装置など。

●第14情報社
14th Intelligence Company:
 「北アイルランドの危険な任務」のために毎年陸軍3支隊から雇われる数人のSAS(?)隊員。これは第14諜報科(14 Intelligence Corps)に新規募集するための隠語で、諜報員のSASと考えられることが一般的な3つのカバー組織のことである。アイルランドCQBなどの写真技術と(主に)尾行技術において高度に訓練されている。「社」は北アイルランドで、IRAを監視し、テロリストに先制攻撃する。作戦には明記されず、必ずRUCとかHMSU警察部隊と呼ばれて、その作戦の後始末をする。第14諜報科は、頭が良く、隠れるのが得意で、(SASほどは)過激でない人物を募集して北アイルランドに送り込む。2週間の選抜に続いて、6カ月の特殊訓練がある。

●技術習得
 落下傘降下、潜水、山岳技術、ラペリング、軍隊流格闘術、野戦衛生学、狙撃、通信、破壊工作については、CRW任務以前にすべて修得している。
 SAS CQBハウス(殺人部屋)で烈しい射撃訓練。
  基本CQBコースは最低でも1200〜1600発程度の弾薬を消費。6週間継続。
  移動射撃、さまざまな態勢からの射撃、迅速な弾薬交換、
  発射不良時の排除要領、精密射撃は、機械的にできるまで訓練。
  実弾戦術射撃訓練時にSP隊員は人質を演じる。
  拳銃では2連射、短機関銃では3発単連射が用いられる。
  頭を確実に打ち抜くことも訓練される。
  反射的衝撃訓練。

●記章
 選抜で最後まで残り、SASのメンバーになった兵士は、記章をつけられる。

●ヘレフォードのチンピラ(Hooligans from Hereford)
 SASを指す俗語?

●時計をうち砕く(beat the clock)
 SASのメンバーがSASに加わって生残れば、「時計をうち砕いた」といわれる。これは、任務で死んだ全員の名前と日付、死亡場所を記したSAS記念時計のことである。

●部隊に戻す(Returned to unit、RTU)
 いかなる理由であれSASを離れたら、彼らはあなたをRTUするだろう。

●関与した事件
1972 クイーン・エリザベス二世号爆弾処置に、SBSとともに海中落下傘降下。
1975 イラン人旅客機乗っ取り事件。
1975.12. バルコン街で4名のIRA籠城事件。
1977.10. モガディシオ突入行動でGSG-9を擁護。
1980.5.5. CRW部隊、イラン大使館突入事件で脚光をあびる。
 

●最近の動向

 テレグラフ(95.12.11)は、SAS軍人がコロンビアでの人質救助に加わっていたと報じた。8月、事務員のティモシー・コウリー(Timothy Cowley)軍曹(33歳)は、バードウォッチング中に誘拐された。フェラノ(Ferrano)将軍(コロンビア警察)は、「英国大使館SAS工作員と連携しての諜報作戦」によって救助が可能であったと明言した。救助・監視・対テロに関して高度に訓練されているSASチームは、誘拐事件後にコロンビアに送られた。

 英国航空は、フランスでの審議後、400万フランの損害賠償をフランス人乗客に支払うことになっている。乗客は、イラク侵攻直後のクウェートに着陸した機に乗っていた。英国航空と英国治安部隊が共謀しており、飛行機はSAS部隊を運んでいた、ということである。テレグラフ(95.11.9)

 テレグラフ(95.8.31)によると、ボスニアのセルビア人に対するNATO空爆作戦の間、NATOのジェット機による精密な空襲のために、SASを含む特別軍は、地上でレーザーによってターゲットを指定することに使われていた。

 英国は人権会議を無視しているとヨーロッパ法廷が認定したため、政府はジブラルタルで狙撃されて死んだ3名のIRAメンバーの関係者に法的賠償を支払った。副総理大臣は法廷によるこの決定を「不可解だ」と述べた。3人のIRAメンバーは、1988年、ジブラルタルでの式典警備の交代のときに、車載爆弾を爆破させようとしているのだと思いこんだSAS工作員に打たれたものである。テレグラフ95.9.28, 95.12.27.

 パレスチナ人ハイジャック犯ソウハイラ・アンドラウェス(Souhaila Andrawes)とSAS隊員バリー・デイヴィース(Barry Davies)(1977年10月に飛行機を急襲した)が、本と映画で協力するために再会した。アンドラウェスはSAS部隊が飛行機を急襲する際に、足に27発の弾を受け、生き延びるとは思われていなかった。彼女の3人の仲間は殺された。彼女は暴力に背を向け、ノルウェイに移住した。ダヴィスにとってはモガディシオ包囲攻撃が彼のSASでの長い勤務のハイライトであった。87人の乗客をプラマからフランクフルトへ輸送中のルフトハンザ181便を、テロリストが掌握した、というのがそのとき世界中の見出しとなったものだ。サンデー・タイムス96.2.11.

 SASが初めて公然と現われて発言した。それは湾岸戦争におけるブラボー・ツー・ゼロ(Bravo Two Zero)パトロールに関するITVのドラマ「One That Got Away」を非難したものである。この番組は、湾岸戦争中に敵前線背後に降下した8人の隊員の一人、クリス・リアン(Chris Ryan)による同名の本に基づいている。デヴィッド・リオン(David Lyon)大佐(SASの佐官司令官、元SASメンバーによる近年の出版ラッシュに対処する委員会議長)は、通常とは異なった手順になるが、この番組が死亡者の親族に不要な悲しみを起こさせたことについて、デイリー・テレグラフに不平の手紙を送ってきた。テレグラフ96.2.19. BBCも、同じ部隊についてのドラマを、アンディ・マクナブ(Andy McNab)の「ブラボー・ツー・ゼロ」という本にもとづいて作製した。アンディ・マクナブは部隊長であった。

 陸軍は、SAS地方守備兵の活性化を開始した。二つのSAS TA部隊 21 SAS (V)――ロンドン基地(Dulwich, Hitchin, Bramley, Newportにも基地あり)――と、23 SAS (V)――ブリミンガム基地(マンチェスター、リーズ、ニューキャッスル、ダンディー、グラスゴーにも基地あり)――が、1994年前線第一防衛削減において削減された。他の多くのイギリス陸軍部隊同様、これらも現在は応募不足に悩んでいる。新規隊員募集のための活性化第一段階は、陸軍の雑誌「ソルジャー」での2ページの記事で、最近のSASの訓練を写真入りでレポートし、部隊の役割について詳細に描いている。ソルジャー誌副編集長ジョン・エリオットは、「それ相応の理由があってMoDがSASを極めて秘密のもとに置きたがっているのだとしても、私たちが一度書いた内容によって透明化したことは明らかだ」と述べた。テレグラフ96.1.16.

 SASとSBSは新兵器を獲得するかもしれない。最大6つの世界でも最も強力な武装航空機購入計画がある。アメリカの航空機、スペクトル(C-130 ハーキュリースの変形)がすでに、最近のボスニア作戦で飛行している。これは40mm6連装ガトリング銃と3000の弾丸、Bofors 40mm機関銃、105mm曲射砲を装備している。これは二つの対象に同時に発射する能力、偵察のための特別テレビ、完全レーダー、電子保護装備があり、さらに軽量セラミック・アーマーもある。これはロックウェル航空機整備所にて必要品を供給され、現在はアメリカ特別部隊の活動においてのみ使われている。
同様に特別部隊仕様の8機のチヌーク・ヘリコプターの運送に続く協議である。どちらも、特別部隊のための役割が変わってきていることを示している。現在のSASとSBSの作戦は4人から8人の小隊であるが、軽運搬機で敵前線背後に隊レベルの大きさの部隊を運搬することが可能となるだろう。これは、調査・破壊活動だけではなく、倒れたパイロットを救出するような作戦にもふさわしい。サンデー・タイムス96.3.10.

SASは新しい拳銃を評価している。SASは拳銃を隠された武器、あるいはHK MP5 サブマシンガンがジャミングした場合のバックアップとして使用している。これはアンダー・アーム・ホルスターで運ばれ、2丁拳銃として使われる。しかし、最も強力な拳銃が近接して使われない限り防げる現在の軽量防護服が、テロリストや犯罪者にも使われるようになっている。結果的に、SAS(とその他のイギリス組織)は新拳銃 FN Herstal製作のFive-SeveNを評価している。この新拳銃は世界最強の拳銃だという。200メートルの距離から薄板状のケブラー製防護服48枚を貫通しうる。茶色の9mm拳銃(現在SASが使っているもの)は秒速350mで8グラム弾を発射するが、Five-SeveN(5.7mm)は、2グラムの弾丸をほぼ倍の秒速650mで発射する。また、これは軽量弾を使っており、発射時のガス圧を部分的に相殺させるように巧妙にデザインされているため、反動も従来の拳銃よりはるかに少ない。サンデー・タイムス96.7.7.
SASは現在、ブラウニング9mmではなくSig Sauer P226 9mmを使用しているとされている。

活動の混乱。96年8月1日木曜日、『ネメシス・ファイル』の著者ポール・ブルース(Paul Bruce)は、午前5:45、Weston-super-Mareの自宅で、RUC隊員に拘束された。出版社によると、新しい章の書かれた原稿のコピーも奪われたという。『ネメシス・ファイル』は、北アイルランドで約30人を抹殺したSAS隊員のノンフィクションを描いたベストセラーであり、ブルースはそのメンバーだと主張していた。国防軍は常にこの主張を笑い飛ばし、シン・フェイン党でさえもそれを「全体的に奇妙だ」と述べていた。ポール・ブルースは北アイルランドに移送され、RUCによってテロ活動の防止について質問された。1日、尋問と陳述が続いた。金曜日(8月2日)にRUCは声明を発表した。その本は「フィクションの仕事」。ポール・ブルースのペンネームを使っていたポール・インマン(Paul Inman)は、SASに勤務したことはなかった。彼は最近数ヶ月、アルスターで軍の自動車工として働いていた。RUCは、彼を尋問するのは警察の時間を無駄にするものだと認定した。上級SAS情報源は「我々が常にそう行って来たように、この男が偽物だと暴かれたので、我々は喜んでいる」と述べている。テレグラフ96.8.1.-8.2

新しい規則により、本を出版した元SASメンバーは、SAS本部に入ることを禁止されることになった。97.1.22.

 

●特別ボート部隊
SPECIAL BOAT SERVICE (SBS)

●概説
 SBSはあまり知られていない英国精鋭特別部隊である。SBSはSASよりもよく高度に訓練された組織だという人もいる。SBSはSASよりも専門的な部隊であり、その特殊技能は海軍と別の技能を必要とする。これも選抜された組織であり、はるかに少ない人員で構成されている。特別ボート部隊はかつて特別ボート分遣隊(Special Boat Squadron)だった。

●カヌーに乗るスイマー(Swimmer Canoeist、SC)
 SBSのメンバーはカヌーに乗るスイマーと呼ばれる。

●所在地
 SBS司令部はドーセットのプール英国海兵隊(RM Poole)であったが、これは閉鎖され、ポーツマスのホエール・アイランド(Whale Island in Portsmouth)に基地を置く。

●人員
 SBSはSASの約5分の1で、約90人〜100人。平均年齢は23歳。SBSメンバーは英国海兵隊からのみ専任される。選抜においては、泳ぎと潜りに重点が置かれるという点でSASと異なっている。

●任務
 SBSとSASは、現在、反テロ任務などの共通技能について共同訓練している。
 SBSは英国海軍爆弾配置潜水チーム部門と合体してMCT(対テロ海洋隊、Marine Counter Terrorism)と呼ばれている。

●活動
 最近の脅迫・攻撃の対象となっているパディ・アッシュダウン(Paddy Ashdown)議員(労働党首)の記事によると、この議員は元「特殊ボート部隊」のメンバーだったという。

 

●コマッチオ中隊
Comacchio Group

●概説
 北海油田をテロから守るために70年代後半に作られた英国海兵隊の一団。中隊名コマッチオは、第2次世界大戦の勲章から。

 最初、グループは約300人で、アーブロース(Arbroath)に基地があった。

 80年代前半からグループの任務は、核兵器警備を含む海軍安全保障も含むようになった。1987年、プール英国海兵隊に油田防衛任務が移され、グループは主にスコットランド西海岸の核兵器警備に専従することになった。

 グループの人員は高度に訓練され、特に素早い反応と正確な射撃に重点が置かれている。水上で動く小さな乗物を各自持っている。国家に残された核抑止力の警備は、24時間体制で行われている。

 

●ロンドン警視庁D11部隊

 アメリカのSWAT部隊と同様。警視庁の火器指導員によって編成。
 政治的分野担当のSASに対し、D11は犯罪的分野で投入される。
 青いベレー帽をかぶっている。
 警察拳銃部隊としても配備についている。

 

●ロンドン警視庁反テロ部
the anti-terrorism branch(SO13)

●長官
 David Veness

 SO13長官デヴィッド・ヴェネスは、英国のユダヤ人社会によって使われている600以上のビルが、パレスチナ・イスラエル和平に反対する中東テロリストの潜在的ターゲットとなっていると述べた。その脅威は長期的なものであるという。(94.12.1)

 

●SAS HAG部隊(House-Assault Group)
●NITIC部隊(秘密作戦の特殊部隊)

 いずれも北アイルランドに展開。

 

●RUC 英国アルスター保安隊
RUC(Royal Ulster Constabulary)

 二個部隊を展開。
 D11に似たHRU部隊。
 E4-alpha(秘密作戦・監視部隊)がある。

 

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