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東京クーデター
Tokyo Coup d'etat

 
第二章 東京クーデター発生
 

都市ゲリラ

 ゲリラとは、革命の手段として用いられる市民の武力的活動で、都市や農山村に起こる。相手の力が強大で、正攻法を用いにくい場合、臨機応変に相手の意表をついて攻撃し、その勢力を分散または壊滅させるものである。いっぱんに小部隊で敵陣や後方に奇襲を行い、敵をかく乱する遊撃戦を特長とする。

 ゲリラ戦は、中国革命、キューバ革命、南ベトナムにおける解放戦争などで、革命の際の有力な手段であることが立証された。しかし、その戦術は、社会的、自然的条件に大きく作用される。他国における戦法が、そのまま日本に通じるということはない。前記諸国は交通網も貧弱であり、政府軍の活動は機敏さを欠き、その武力も劣悪であった。革命軍はゲリラ戦を、生活水準が低く、さまざまな桎桔にあえいでいる農村から始めた。支持者が容易に得られ、短期間に地域行政を停止させることに成功した。人的質源も広範な農村で獲得でき、やがて都市を制圧した。

 ゲリラ戦にとって、地域の設定はきわめて重要かつ因難な問題である。日本の場合、都市勤労者よりも生活の豊かになった農村を革命の牙城にすることは、ほとんど不可能である。したがって、日本でゲリラ戦を始めるとすれば、大都市ということになる。

 かつての都市ゲリラ戦では、バリケード戦法が威力を発揮したが、現在ではその効果は疑問がある。都市構造が変わってきていること、戦車・大砲・航空機などが発達していることなどから、バリケード戦は主要な戦術ではなくなった。ただ、革命運動の場合、「抵抗の意思」を表明するという政治宣伝の効果はあげられる。バリケードにかわるべきものは、都市の建造物である。そして、市民を戦闘にまきこみ、第一線にかりたてて戦わせる。自らは、後方や群集の中にひそみ、あるいは建造物にたくみに遮蔽されて、機をみて敵を攻撃する。戦術的には波状攻撃を行い、敵の心身を極度に疲労させようというのである。

 ゲリラは、市民の支持・協力がなければ、とうてい実現は不可能である。ゲバラにしても毛沢東にしても、一般民衆に被害を与えることを厳に戒めている。赤軍など過激集団の行動が空転しているのは、大衆の支持をまったくもたないからである。次いで重要なことは、社会的条件である。革命を期待する声である。経済恐慌、思想混乱といった、国益や個人生活に直接結びつく深刻な要素がなければならない。

 ……(以下略)

 

 

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   戦略・戦術戦略目標政治工作決行新秩序建設

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