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オサマ・ビン・ラディン情報

Osama (Usama) bin Ladin(Laden)
 

英国オブザーバー紙の記事より。

 

●オサマ・ビン・ラディン情報の混乱

Francis Wheen 公的な敵ナンバーワンについて
1998年8月26日水曜日

人は自分の名前によって非難されることがありえるだろうか? マイケル・ウィナーはあると考える。「オサマ・ビン・ラディンという名前も、無情な悪人というイメージを喚起している」と、マイケルは新しい「公衆の敵ナンバーワン」について観察する。

地球上で最も強力な国家は、もちろん、極めて洗練された情報収集技術を使っている。「アメリカの諜報機関は、ビン・ラディンを何年も監視しているといわれている」と、ハイテク・スパイ物語にいつも夢中なサンデー・タイムス紙は報じた。「アメリカの工作員は、彼の場所を10メートル以内の幅で知っている」。この長期の監視から何がわかったのか? 先週の金曜のデイリー・メール紙は、彼は「4000万ポンドの資産がある」と報じた。二日後、メール・オン・サンデー紙は「彼は2億ポンドを相続した」と述べ、サンデー・テレグラフ紙は「3億ポンドの資産」と切り出した。そのなかで一番傑作なのはタイムス紙で、ビン・ラディンの活動は「1800万ポンドから1億8000万ポンドの間と見積もられる個人資産に裏付けられている」と明らかにした。その間にはあるだろう。

彼の年齢すら謎のままである。先週の金曜日のタイムス紙では、42歳だった。その翌日、同じ新聞が「彼はリヤドで1957年に生まれた」と報じた。その他は、彼が45歳か46歳であると保証してくれた。あるいはもっと慎重に「40代半ば」と。

おそらく、細かいことなのだろう。しかし、アメリカ諜報機関のすべてを見る目が彼のCVの基本的事実すらはっきりさせられないなら、先週クリントンが述べた「信頼できる情報」にどれほどの信を置くことができようか? 今年3月10日の議会の討論で、外務大臣トニー・ロイドは、スーダンで化学兵器が開発されているというアメリカの報告について質問されて「外務連邦省はこれらの報告を有効にできない。そしてこの問題について新しい、あるいは実態のある証拠も見ていない」と述べた。これにくらべて、先週日曜日の国防大臣ジョージ・ロバートソンからの声明は対称的だ。普通の化学工場と神経ガス工場を区別することは「容易ではない」と認める一方で、「アメリカは信頼できる証拠を持っており、そのために彼らは攻撃を行なったのだ」と確信している。スコットランド下院議員として、ジョージ・ロバートソンは、1988年12月のロッカービー爆破事件を忘れていないはずだ。次の春までに、イランのためにシリアの援助を受けて活動しているパレスチナ人グループPFLP-GCが犯人であるという「信頼できる情報」をアメリカ人は手に入れた。「諜報的な観点から、この事件は解決された」と、CIAの対テロ部長ヴィンセント・カニストラロは述べる。「イラン政府に責任を問う多くの証拠がある」と。しかし、それからサダム・フセインがクウェートに侵攻した。シリアやイランを敵対させたくないため、合衆国は、どちらの国も――さらにPFLP-GCも――ロッカービー爆破事件に関係ないと発表したのである。代わりに、好機として「信頼できる証拠」がリビアに関連づけられた。さらに好機として、今週、オサマ・ビン・ラディンが化学攻撃を合衆国に対して計画していたということを確認したと言いふらした専門家の一人は、ほかならぬ「元上級CIA職員ヴィンス・カニストラロ」であった。

このページで数週間前、わたしは諜報機関が全知全能だと信ずることのできない人たちはいるのだと示した。そしてわたしは付け加えた。「諜報員にとって幸運なことに、信じやすいお人好しの範囲には、労働党内閣のすべての上級大臣が含まれるようである」。わたしの指摘を証明するかのように、トニー・ブレアは、スーダンの工場が実際に神経ガスの原料を生産していたという独自の承認を与えることなしに、クリントンの巡航ミサイル外交に対して直ちに祝福を与えた。そうでなければ、わたしが発見したように、彼はアメリカの急襲の合法性について、専門的なアドバイスをしていたはずなのだ。

もし彼が弁護士に尋ねたくないなら、少なくとも愛されている前任者マーガレット・サッチャーに耳を傾けるべきであろう。サッチャーは1986年1月、ニューヨーク・タイムスに語った。「国際法に反するような報復攻撃を信用しない。一旦国境を越え始めたら、それは際限なくなってしまう。わたしは国際法を厳守する」。三か月後、この固い信念を忘れたかのように、F-111ジェット戦闘機がトリポリのRAF上ヘイフォードから発信してトリポリのさまざまな建物――ある理由からフランス大使館も――を爆撃することを認めた。わたしが最初に考えたのは、レバノンの二人の英国人人質、レイ・ダグラスとフィリップ・パッドフィールドのことだ。その一人を、わたしはかすかに知っていた。レーガンの「報復攻撃」を支持し容易にすることで、彼女は二人の死刑執行令状にまんまと署名したのである。そして彼らは4月17日に殺害された。まさにその日、ジョン・マッカーシーがベイルートで誘拐され、恐ろしい5年間の拘束を受けた。興味深いことに、ダグラス、パッドフィールド、マッカーシーの名前は、サッチャーの900ページに及ぶ自伝『ドウニング通りの日々』にはどこにも見られない。

トリポリ爆破後の放送で、ロナルド・レーガンは「激しいものであったこの任務は、礼儀正しい人々のためにもっと安全で危険のない世界をもたらすであろう」と言った。1998年の世界が1986年よりも安全で危険のない世界だと、だれが心から言えるだろうか? レーガンに呼応して、クリントンは先週「アメリカは市民を守り、平和・自由・安全のための世界の戦いを導き続けるであろう」と述べた。彼がやったことは、しかし、イスラム世界の少ない友人を遠ざけ、敵の怒った好戦性を強めることになった――そして、アメリカ市民を以前よりも大きな危険にさらしている。もし無実の数人の海外にいるブリトン人が(クリントンのステキな言葉を使えば)「二次的犠牲者」になったら、トニー・ブレアは少なくとも回想録にその名前を記載するように願いたい。

 

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